今話題の「手元供養」ご存知ですか?

現代の生活は、核家族化、転勤、少子化などによって大きく変化して来ています。それに伴い葬送や供養に対する考え方にも変化の兆しが出てきています。「お墓が遠方のため、墓参りが難しい」「経済的な理由など何らかの事情でお墓を建立できない」「子供は娘だけでお墓の面度を見る人がいなくなるのが心配だ」といった形で、葬送に関する心配も今までにない形のものが現れています。
同時に、葬送への意識も変わってきていますから、「立派なお葬式よりも、親しい人たちだけで心をこめて送ってほしい」といった、より小さな、パーソナルな葬送が望まれてきているという事情もあります。
また新しい葬送の形、たとえば自然葬(散骨、樹木葬)などが社会的認知を受けるにつれて「故人が散骨を希望していたが散骨をすると何も残らないのが気になる」といったお話もよく聞かれるようになりました。
もちろん、「さびしくなるのでお骨を手元から手放せず、何年もたつのにまだ手元にある」という方もいらっしゃいます。

手元供養とは、最愛の方の遺骨やその加工品を身近に置くことで、それが心のよりどころとなり、手を合わせる対象となったり、一緒に旅行に出かけたりすることで、故人を偲び、語りかけ、またそのことで故人との絆を再確認する自由な、新しい形の供養の方法です。手元供養は従来の形にとらわれず自分自身の故人への思いを表現することをお手伝いする新しい形といえます。
2005年には「NPO手元供養協会」が設立され、手元供養というコンセプトの浸透に努めています。

手元供養はどんな人のためのものですか?

手元供養は皆さまのための供養方法です。様々なお気持ち、ご事情の方に手元供養はお薦めできます。
●墓はあるが、手元にも置いて故人を偲びたい
●お墓が遠方のため、墓参りが難しい
●お墓の継承者もなく、無縁仏になる可能性が高い
●年齢的、体力的な理由で墓参りが困難
●子供達に心や、経済的面で負担をかけたくない
●そもそも、お墓は不要
●経済的、惑いは、何かの事情でお墓を建立できない
●散骨、樹木葬だと何も残らないようで寂しい
●合祀墓等との組み合わせ
●次三男や、嫁いだ身だが、手元で両親の供養をしたい
●海外に生活や、転勤、引越しなどで墓地の場所が決まらない
●洋風の生活なので、部屋にマッチする小型仏壇と組み合わせ
●仏壇は無いが、何かで故人を偲びたいと考えている人。
●幼いお子さんや、お連れ合いを亡くされ孤独感・寂しさを感じ故人の遺骨を手放せない

どんな手元供養がありますか?

手元供養は大きく次のように分けられます。大きく「納骨型」と「加工型」に分かれています。

手元供養、よくある質問

Q: 遺骨を自宅においてもいいの?

正式な手続きを経て火葬を済ませた焼骨は、故人や遺族の意志により自宅で保管できます。分骨タイプの手元供養品は、骨壷にかえてオブジェに納めるとお考えください。もちろん法律違反ではありません。
また、お骨をダイヤモンドやオブジェ、ペンダントなどにすることは散骨と同様で、現在の墓地埋葬法では規定がありません。
散骨について「それが葬送の為の祭祀として節度をもって行われる限り問題はない」との法務省の見解と同様、自宅供養のための加工ですので、法律的には全く問題はありません。ちなみに、大阪の浄土宗一心寺や香川県の法然寺では、数十万人の遺骨で骨佛をつくり納骨堂に安置しています。宗教的にもお骨を加工することは、問題がないようです。

Q: 分骨してもいいの?

法律上なんら問題ありません。しかし、分骨すると成仏できないのではとのご相談をよくうけます。これは根拠のない迷信です。ある住職さんは、“供養したいと思う心”それこそが大切と申されます。お釈迦様のご遺骨(仏舎利)も、世界各地に分骨されています。また、西日本では、五体の一部づつしかお骨上げをしません。実はこの時点で分骨になっているんですよね。

Q: 手元供養をしたいのですが、手元に置かない分はどうしたらいいのですか

手元に置かない分の遺骨は通常のお寺での納骨のほか、以下のような方法があります。選択肢が増えてきていますね。

●本山納骨:各宗派の本山で合祀納骨供養がうけられます。費用5-10万円程度。
●合祀永代供養墓:全国的に増えているお寺などが管理する“共同のお墓”。納骨方法、お勤め内容により費用は約20-60万円と格差があります。
●樹木葬・桜葬 墓石を置かず、樹木を墓標として植えます。費用15-50万円。
●海洋散骨 年々増加傾向の海での散骨。費用は委託散骨5万円程度。遺族参加10-30万円。

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識者の意見
死んだら「○○家の墓」に先祖と入るー。最近、こうした「常識」が変わりつつある。これまでの「○○家の墓」は、子々孫々での継承を前提としてきた。家族のありようや価値観が多様化し、墓の跡継ぎ問題に悩む人は少なくない。
「子どもや孫に負担をかけたくない」「転勤族の子どもや結婚した娘には墓守を期待できない」子どもがいない夫婦やシングルも増加している。
継承者がいなければ、無縁墓として処分されてしまう・・・。そんな事情もあり、「○○家の墓」にこだわらない人が増えている。なかには墓に納骨しないことを選択する人もいる。例えば散骨。今や「思い出の地に撒いてほしい」と考える人は珍しくない。
「マディソン郡の橋」や「世界の中心で、愛をさけぶ」など話題の純愛小説で、散骨がロマンティックに描かれている影響もあるかも知れない。(中略)
愛する配偶者や子どもを亡くし、「遺骨を自分のそばに置いておきたい」と願う人は多い。3年前に公開されたロバート・デ・ニーロ主演の「ミート・ザ・ペアレンツ」では、祖母の遺灰が入ったつぼが暖炉の上にさりげなく飾られていた。欧米では、こうした光景は珍しくない。そのため、骨つぼの種類も豊富にある。(中略)そもそも「○○家の墓」が日本で一般化したのはせいぜい明治末期以降。歴史があるとは言えないのだ。世間体、死への畏怖、家意識、親せきとのしがらみ、慣習。葬送にはさまざまな要素が絡み合う。しかし立派な先祖墓も、自宅での安置も、散骨も、故人を偲ぶ遺族の気持ちには変わりないはず。(後略)日本でも納骨以外に選択肢が広がっていくのは歓迎すべきことだと思う。
平成16年4月23日の讀賣新聞に掲載された小谷みどりさん(第一生命経済研究所ライフデザイン研究本部主任研究員)の投稿文。
小谷さんの書籍は書籍のページで。